抄録
シロイヌナズナのプロテオーム解析のうち、膜タンパク質、特に膜貫通タンパク質を対象とした解析は、その疎水的性質から通常の二次元電気泳動法では網羅的な分離が難しい。そこで我々はその解析アプローチについて検討した。まず播種後4週間のシロイヌナズナ植物体のホモジェネートから、ショ糖密度勾配超遠心法により液胞膜濃縮画分を調整した。次にこの膜画分から膜表在性タンパク質を除き、残りの膜タンパク質をSDS-PAGEで分離後、リジルエンドペプチダーゼを用いたゲル内消化と逆相HPLCの組み合わせによって消化ペプチドを網羅的に分離した。その主なペプチドについてはエドマン法によりアミノ酸配列決定を行った。163ペプチドピークを解析した結果、64の有意なペプチド配列が得られ、ゲノム配列と比較したところゲノムの冗長性から2つのサブファミリーを含む42ファミリーと対応した。34ペプチド配列については、その特異的配列によって単一タンパク質が同定された。これらはトランスポーター、チャンネル、レセプター、機能未知タンパク質などの膜貫通タンパク質を含み、また残りの低分子量GTPase、GTPase結合タンパク質、HSP-70様タンパク質、リボソームタンパク質、機能未知タンパク質は疎水性分子を介して膜に結合しているか、或いは他の膜結合タンパク質と相互作用している膜タンパク質と考えられた。