日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ゲノムレベルでの遺伝子発現解析による植物のリン酸飢餓応答性
*天谷 正行櫻井 望島田 裕士太田 啓之柴田 大輔
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p. 001

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抄録
植物の生育にとって必要不可欠な元素であるリンは、今世紀半ばにも不足することが予測されているが、未だ植物のリン酸吸収機構は解明されていない。我々は、リンを有効に利用する植物改良あるいは栽培技術開発の手がかりを得る目的で研究を行っている。今回はESTクローンを利用したマクロアレイと、Agilentが提供するシロイヌナズナ22Kマイクロアレイを利用し、非重複な22,064個の遺伝子を対象とし、植物のリン酸飢餓応答性について解析を行った。液体回転培養を21日間行ったシロイヌナズナにリン酸飢餓条件を72時間与え、この過程に起こる遺伝子発現変化を詳細に解析した。この結果、リン酸トランスポーターAtPT2RNase1SQD1SQD2など既に報告のあったリン酸飢餓誘導性遺伝子の発現に加え、発現比が各処理区のコントロールと比べ5倍以上となった遺伝子が70個同定された。また、解糖系においても、PEPからOAAを生合成する機能を持つ遺伝子が誘導されることが明らかとなった。これとは逆に、光合成反応に関与する遺伝子では、光化学反応系の構成パーツ、カルビン経路に関与する酵素群などが抑制されており、植物においてリン酸欠乏に動的に適応している様子が明らかとなった。
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© 2004 日本植物生理学会
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