日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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低リン欠乏時のイネにおけるリンの再生機構と炭素代謝の関係について
*信濃 卓郎土肥 真理子和崎 淳大崎 満
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p. 003

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抄録
植物は低リン状態に陥ると、体内の代謝系を調節して細胞内のリンを効率的に利用するようになることが知られている。特に炭素代謝系において、リン酸化合物は様々な経路において関わっており、低リン条件下ではいくつかの経路においてはリン要求量がより少ない代謝系にバイパスすることが提案されている。さらには、無機リン酸の体内での再利用効率を高めるように代謝系が調節されていることが想定される。そこで、本研究では水耕栽培した栄養生長期のイネに低リン処理を施し葉からTotal RNAを抽出し、Real Time PCR法を用いて、Triose phosphote translocater, phosphoenolpyruvate/phosphate translocator, phosphoenolpyruvate carboxylase, pyruvate kinase, NAD dependent glyceraldehydes―3-phosphate dehydrogenase, NADP dependent glyceraldehydes―3-phosphate dehydrogenaseをコードする遺伝子の発現を調査した。低リン処理により無機リン酸が著しく減少した。これまでの報告では低リン栄養に対してPEPCはNAD-3G3PDHの活性が高まるとされていたが、遺伝子の発現レベルではそのようなバイパス機構はほとんどおこっていないことが想定された。その一方で、PPT/Pi translocatorの発現が低リン条件で著しく上昇していた。この事は細胞質からクロロプラストへのPEPに伴った炭素とリンの取り込みが低リン条件のイネの葉で進行している可能性を示唆している。
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© 2004 日本植物生理学会
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