日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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形質転換トマトに導入されたシロイヌナズナ病害抵抗性遺伝子のスプライシング
*前田 ふみ山本 直樹深見 正信須田 邦裕桑田 主税津金 胤昭渡邉 学小原 麻里丸 諭柴田 大輔
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p. 028

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抄録

100kbもの長鎖DNA断片を用いた形質転換技術は、植物への複数の遺伝子や量的形質遺伝子座(QTL : Quantitative Trait Loci )等の遺伝子座を含む大きな染色体領域の導入を可能にする。我々はイントロンを含むゲノムDNAの導入による異種植物への新形質付与の可能性を、約80kbのシロイヌナズナゲノムDNA断片を挿入したTACベクター(長鎖DNA断片の植物形質転換用ベクター)を用いて検討している。本研究ではシロイヌナズナゲノム上の病害抵抗性遺伝子(推定の病害抵抗性遺伝子を含む)を含む染色体領域を、アグロバクテリウム法を用いてわい性トマトMicro-Tomに導入した。現在までに11個の病害抵抗性遺伝子を導入した33系統のトマト形質転換体を作出した。トマト葉で発現の認められた遺伝子で正常なスプライシングが起きていることを確かめるために、イントロンを挟んだ配列でプライマーを設計し、RT-PCRを行ってPCR産物のサイズを比較した。導入された病害抵抗性遺伝子ではシロイヌナズナと同様のスプライシングが生じていた。1遺伝子ではサイズの異なる2種類のPCR産物が増幅し、シロイヌナズナと導入された病害抵抗性遺伝子で同じ結果が得られた。シークエンスで塩基配列を比較し、選択的スプライシングの保存が確認された。今後は病害抵抗性遺伝子を誘導するサリチル酸処理等による遺伝子発現の変動を調べる。

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© 2004 日本植物生理学会
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