日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物間多様性の解明へ向けた異種植物ゲノム環境での遺伝子発現解析
*山本 直樹前田 ふみ津金 胤昭渡邉 学須田 邦裕桑田 主税深見 正信小原 麻里丸 諭柴田 大輔
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p. 029

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抄録
 1億年以上前に分岐した植物間の多様性を分子レベルで解明するために、シロイヌナズナの多数の遺伝子を異種植物ゲノム環境に移し、それらがどのような挙動を示すかを調べている。本研究ではTACベクター(長鎖DNA断片を植物に導入できるバイナリーベクター)に挿入されたシロイヌナズナの長鎖ゲノムDNA断片を、アグロバクテリウムを介してトマトに導入した。導入に用いた4種のDNAの断片は61、75、76、78kbpであり、それぞれ17、20、22、23個の遺伝子が含まれている。これらの遺伝子の発現を調べるために、9,600種のシロイヌナズナ遺伝子断片及び3,600種のトマト遺伝子断片がスポットされているDNAマクロアレイを用いた。アレイフィルターには導入に用いた遺伝子断片を加えた。シロイヌナズナDNA断片導入によるトマトの内在性遺伝子の発現の変化は認められなかった。約4割の遺伝子のトマトの葉、葉軸、根での発現は、シロイヌナズナの対応する器官での発現とよく一致しており、両植物間で遺伝子発現制御機構が強く保存されていることを示唆する。約6割の遺伝子に関しては、シロイヌナズナとトマトのゲノム環境における遺伝子発現レベルの違いが検出された。この結果は、進化的に離れた植物間での多様性を分子レベルで明らかにする手がかりとなる。
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© 2004 日本植物生理学会
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