日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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脱分化・細胞増殖に対するサイトカイニンの潜在的な阻害作用を抑圧する因子RRD4の解析
*永宮 研二杉山 宗隆
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p. 056

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抄録
サイトカイニンは植物の発生・成長に深く関わっており、なかでも細胞増殖の制御においてはオーキシンとともに決定的に重要な役割を担っている。rrd4変異体は根の再分化を指標に単離したシロイヌナズナの突然変異体であり、脱分化・細胞増殖などに関してサイトカイニン依存的な温度感受性を示す。脱分化・細胞増殖に対するサイトカイニンの阻害作用は通常高濃度で処理したときに観察されるが、rrd4変異体ではこのような阻害作用が低濃度域でも表面化するものと思われる。つまり、RRD4の本来の役割は、サイトカイニンの阻害作用の抑圧にあると予想される。RRD4遺伝子は、マウスのTIP39やショウジョウバエのSIP1によく似たG-patchドメインタンパク質をコードしているが、いずれも分子機能は全く不明である。
 脱分化・細胞増殖に対する見かけのサイトカイニン作用は、複数のサイトカイニン作用経路のバランスによって決まっていると考えられる。そこで今回、サイトカイニンの様々な作用経路にRRD4がどのように関わっているかを明らかにするため、ARR5等の遺伝子発現を分子マーカーとして胚軸外植片のサイトカイニン応答と、それに対するrrd4変異の影響を調べた。これまでに得られた結果からは、rrd4変異がサイトカイニン応答に影響するわけではないこと、すなわちRRD4の関与は一部のサイトカイニン作用経路に限られていることが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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