日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアの新規青色光受容BLUFタンパク質Slr1694の光反応サイクル機構
*増田 真二長谷川 浩司小野 高明
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p. 078

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抄録
BLUFはフラビンを色素としてもつ光受容体の中で、クリプトクロム及びフォトトロピンに次ぐ3番目の例として見つけられた紅色細菌のAppA又はミドリムシのPACタンパク質に見られる新規のFAD結合ドメインである。ゲノム配列データよりこのドメインは18生物種、30種のタンパク質より見出されている。今回我々は全長BLUFタンパク質の光照射に伴う色素及びタンパク質の構造変化を調べる目的で、シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803のSlr1694タンパク質の光化学的性質を赤外、紫外可視光及びNMR分光法により調べた。その結果、1)AppA同様フラビンの吸収が長波長シフトする光反応サイクルが見られること、2)光照射に伴いフラビン環C(4)=OとC(2)=Oの伸縮運動が減少し、タンパク質骨格由来の分子振動変化が観測されること、3)AppA同様フラビン環はπ結合を介してアミノ酸側鎖と相互作用していることがわかった。これらのことから、1)Slr1694は光反応サイクルに伴い構造変化を起こすこと、2)光反応中アミノ酸側鎖又はタンパク質骨格とフラビン環O(=C4)及びO(=C2)との新たな水素結合が形成されること、3)その反応にはチロシンとフラビンのπ結合を介した相互作用が重要であることがわかった。この光反応は全てのBLUFドメインに保存されていると考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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