日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物のアルミニウム(Al)ストレスでの2つのグルタチオン-S-トランスフェラーゼ遺伝子(AtGST)の発現誘導機構に関する解析
*江崎 文一鈴木 正勝元田 弘敏中島 進松本 英明
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p. 107

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抄録
 植物金属ストレスの1つであるAlストレスに対して誘導性を示す遺伝子は既に多数単離されているが、誘導機構そのものに関する解析は進んでいない。我々はその遺伝子レベルでの解明を試みている。
 アラビドプシス由来のAl誘導性遺伝子である2つのAtGST遺伝子 (AtGST1、AtGST11) のプロモーター領域とGUSリポーター遺伝子との融合遺伝子を持つアラビドプシス形質転換植物を用いて、各々の遺伝子のAlストレス条件下での発現時期と発現領域を蛍光定量法と染色法で検討した。その結果、AtGST1遺伝子は処理開始後約2時間目に主に葉で、AtGST11遺伝子は8時間目付近で葉と根で発現し、両者間ではAlストレスに対して異なった応答性を示した。  
 また根の処理に対して葉で応答が見られたことから、根から葉へのシグナル伝達機構が存在している可能性が示唆された。さらにpAtGST11::GUS融合遺伝子形質転換体を用いた葉の組織学的観察では応答反応は葉脈部分で特異的に見られ、根からのシグナルや転写因子等は葉脈にそって移動すると思われる。またAlストレスの毒性の度合いに応じて葉での応答性に違いが見られたことから、このシグナル伝達は毒性度に依存することが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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