日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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木部分化に関わるヒャクニチソウHD-Zip III homeobox遺伝子ZeHB-12標的遺伝子の探索
*伊藤(大橋) 恭子久保 稔出村 拓福田 裕穂
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p. 133

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抄録
維管束は木部、篩部、前形成層からなる複合組織であり、その形成は非常に秩序だっている。しかし、その分子機構の詳細は明らかになっていない。私達はこれまでにヒャクニチソウHD-Zip型クラスIIIホメオボックス遺伝子を単離し、これらが木部分化に関わることを示してきた。今回、その中の一つZeHB-12について機能解析を進めた。まず、ZeHB-12の転写活性化能およびDNA結合能を調べた。その結果、ZeHB-12は正の転写活性化能を有すること、および、少なくともTAATNATTA配列に結合することがわかった。これらの結果は、ZeHB-12が転写因子としてはたらき得ることを示している。次に、ZeHB-12が制御する下流の遺伝子を23K genechipを用いて調べた。デキサメタゾン(DEX)存在下で目的遺伝子を過剰発現させる系を用い、シロイヌナズナにZeHB-12を導入した。DEXによるZeHB-12誘導後3時間あるいは6時間で約2.5倍以上発現量が変動しかつコントロールでは変動しない遺伝子を選抜した。ZeHB-12誘導後発現が上昇していく遺伝子群には、転写因子が多く含まれていた。また、木部分化のなかでも特に木部柔細胞に発現すると考えられる遺伝子が複数あった。これらの結果から、ZeHB-12制御下の転写カスケードの存在と、ZeHB-12が木部柔細胞分化の進行に関与していることが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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