日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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管状要素分化過程で発現する脂質分解酵素遺伝子の解析
*栗山 英夫福田 裕穂出村 拓
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p. 134

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抄録
 維管束植物の道管・仮道管を構成する管状要素は、その分化過程で二次細胞壁の形成、細胞死・自己分解を起こし、空洞の死細胞となる。我々は単離葉肉細胞から管状要素への分化を効率的に誘導できるヒャクニチソウ培養細胞系を用いて分化機構の分子生物学的な解析を行っており、これまでにcDNAマイクロアレイ解析などによって分化誘導条件特異的かつ一過的な発現を示す多数の遺伝子を単離している。その中に含まれるある脂質分解酵素遺伝子は、ヒャクニチソウ芽生えの茎頂部分を用いたin situ 発現解析でも細胞死を起こす前の管状要素にのみ発現することがわかっている。今回はそのシロイヌナズナホモログを同定し、分子生物学的・分子遺伝学的な解析を行った。まず上述の遺伝子配列と最も相同性の高いシロイヌナズナORFの上流域約2 kbpをレポーター遺伝子に接続したコンストラクトを作成してシロイヌナズナ植物体に導入し、得られた形質転換体を観察した。その結果やはり細胞死を起こす以前の管状要素に特異性の高い発現が見られ、このORFが相当する遺伝子をコードすると考えられた。また、他にも根冠、花器官の細胞などでも発現が観察された。さらに機能解析を行う目的でシロイヌナズナの過剰発現植物体を作出した。現在詳細な表現型解析を行っており、これらの結果を基にこの遺伝子の機能について考察する予定である。
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© 2004 日本植物生理学会
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