日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナPIF3による概日リズムの変化を介さない花成制御機構
*小田 篤藤原 すみれ鎌田 博George Coupland溝口 剛
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p. 164

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抄録
植物における光周性花成誘導は概日リズムと光によって制御されている。概日リズムはTOC1がポジティブにLHY/CCA1の発現を制御し、LHY/CCA1がTOC1の発現をネガティブに制御することを中心としたフィードバックループによって形成されていると考えられている。bHLH(basic Helix Loop Helix)型の転写因子PIF3(Phytochrome Interacting Factor 3)は1)TOC1と赤色光受容体ファイトクロムBの両者に結合すること、2)LHY、CCA1の両プロモーターのG-box領域に結合すること、3)赤色光条件下でLHY/CCA1の発現誘導に関わることから、概日リズムの光入力系の重要因子と考えられてきた。そこで我々は、PIF3発現抑制株における概日リズムの解析を試みた。PIF3アンチセンス植物体において概日リズムの中心因子をコードするLHY、CCA1、TOC1、GIは明暗周期下、連続明条件下でともに、発現量、周期、位相に変化が見られなかった。しかし、長日条件下においてPIF3アンチセンス植物体では有為な花成時期の短縮が見られ、花成促進因子CO、FTの遺伝子発現が上昇していた。以上の結果から、PIF3は概日リズム制御とは独立に、COFTの発現制御に関わることで花成時期の決定に関与している可能性が考えられた。
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© 2004 日本植物生理学会
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