日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの根端成長に関する数理モデル解析
*岩元 明敏杉山 宗隆
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p. 189

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抄録
植物の先端成長は遺伝・環境要因によって大きく変化し、その結果は細胞増殖と成長(体積増大)の違いとして現れる。しかし、この2つの側面は独立ではなく相互に影響しており、それらはさらに様々な要素から成り立っている。したがって、遺伝・環境要因の効果の本質を捉えるためには、従来の研究のように単に細胞増殖と成長を測定するだけではなく、この複合的な関係を解体し定量的分析を行う必要がある。我々はこれに対し、細胞増殖と成長とを関連づける簡単な数理モデルを考案し、モデルが根の皮層細胞列の成長に概ね当てはまることも既に示している。今回、これまでに我々が行ってきた数理モデル解析にノンパラメトリック平滑化を取り入れて改良を施し、シロイヌナズナの根の成長に適用してその有用性を検討した。まず、コロンビア系統の根端皮層細胞列について成長解析を行った結果、この成長が本モデルによって説明されることが確認された。また、エコタイプ間に見いだされる成長パターンの違いについて解析し、これが成長のどのような側面あるいは要素の差に起因するものであるかを分析した。これにより、本モデルで示される細胞増殖と体積増大の制約関係が実際の器官成長において成立していること、さらにこの数理モデルによって器官成長の定量的比較解析をより掘り下げ、本質的な違いを抽出できることを示した。
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© 2004 日本植物生理学会
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