日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナABA高感受性変異株ahg3の解析
*吉田 知西村 宜之浅見 忠男篠崎 一雄平山 隆志
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p. 197

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抄録
我々はABAの受容から遺伝子発現制御に至るまでの情報伝達経路の解明を目指している。ABA情報伝達経路に異常を持つ突然変異体の分離、解析という遺伝学的なアプローチは古典的ではあるが未知の因子の同定に有効な手法である。我々は遺伝学的アプローチを用い、新たな突然変異体を得るため、シロイヌナズナCol株を対象にABA類縁体に感受性を示す突然変異体のスクリーニングを行い、ABA高感受性変異体ahg1~7を分離した。そのうちの一つであるahg3の解析の解析について報告する。生理学的解析によりahg3は、塩や浸透圧ストレスに高感受性を示す、野生型に比べて発芽が遅れる、ABA誘導性遺伝子の発現が若干遅くなる等の特徴が明らかとなった。一方、他の植物ホルモンに対する応答性に変化はなかった。また、ノーザン解析を行ったところ、ABA処理によるABA・ストレス誘導性遺伝子の発現が野生型に比べて若干遅いという結果が得られた。マッピングによるAHG3遺伝子座の同定を試み、プロテインフォスファターゼ2CであるAtPP2CAをahg3の原因遺伝子と推定した。AtPP2CAはABA情報伝達経路の負の制御因子と推察されている。今後ahg3の原因遺伝子がAtPP2CAであることを確認し、AHG3遺伝子を解析することでプロテインフォスファターゼ2CがABA情報伝達経路に果たす役割を明らかにすることができると思われる。
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© 2004 日本植物生理学会
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