抄録
我々は既に、緑藻の表在性23, 17 kDa蛋白は他の表在性蛋白の有無に関わらずPSII膜蛋白に直接結合し、高等植物とは大きく異なる性質を示すことを報告した(Suzuki et al., Plant Cell Physiol. 44, 76-84, 2003)。この結合様式の違いを明らかにするために、我々は様々な組み合わせの表在性蛋白を用いて緑藻(Chlamydomonas reinhardtii)と高等植物(spinach)のPSIIに再構成実験を行った。その結果、緑藻の表在性蛋白はspinach PSIIには直接単独では結合できず、緑藻の表在性蛋白がPSIIへ直接結合できる理由は、緑藻のPSII膜蛋白に依存することが示めされた。さらに、我々は23, 17 kDa蛋白がどのPSII膜蛋白と相互作用しているかを調べる目的で、緑藻PSIIの水溶性カルボジイミドを用いた架橋実験を行った。その結果、緑藻の23 kDa蛋白はcytchrome b559の大型サブユニットと架橋することが判明した。従って、23 kDa蛋白は cytchrome b559と静電的に結合していることになる。spinach PSIIではcytchrome b559は表在性33 kDa蛋白と架橋することが明らかになっているので、高等植物と緑藻のPSIIではcytchrome b559と相互作用する表在性蛋白が異なる事になる。