抄録
青色光は孔辺細胞細胞膜H+-ATPaseを活性化し、気孔開口を引き起こす。最近我々は、気孔開口の青色光受容体がフォトトロピンであることをシロイヌナズナのフォトトロピン変異体を用いて明らかにした。しかしながら、孔辺細胞におけるフォトトロピンの生化学的解析は行われていない。本研究では32Pラベルしたソラマメ孔辺細胞プロトプラストを用いてフォトトロピン(Vfphot)のリン酸化反応を調べた。Vfphotは青色光照射(100 μmol/m2/s, 30 s)によりただちにリン酸化され、照射開始から約1分で最大となり20分でもとのレベルまで脱リン酸化された。一方、細胞膜H+-ATPaseのリン酸化は約5分で最大となり、H+-ATPaseの活性化に先立ってvfphotがリン酸化されることが明らかとなった。この過程において、リン酸化されたVfphotに14-3-3蛋白質が結合することを見出した。14-3-3蛋白質の結合は、青色光照射開始から30秒で最大となり、15分以内に結合が見られなくなった。これらの結果はVfphotのリン酸化部位には、14-3-3の結合に関わる部位と関わらない部位が存在することを示している。さらに、組換えVfphot1bを用いた実験より、14-3-3蛋白質の結合にはLOVドメイン間の344番目のセリン残基(RRKS344)のリン酸化が必須であることが明らかとなった。