日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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RPT2はphot1によって誘導される気孔開口運動のシグナル伝達因子である
*稲田 さやか大岸 麻紀間山 智子岡田 清孝酒井 達也
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p. 231

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抄録
シロイヌナズナにおいて、フォトトロピン1(phot1)とphot2は青色光によって誘導される胚軸光屈性、葉緑体光定位運動、および気孔開口運動の青色光受容体として機能している。つまり、同じ光受容体を介して、植物体の異なる器官で異なる応答反応が誘導される。これまでに、phot1が誘導する胚軸光屈性のシグナル伝達因子として、RPT2とNPH3 が機能することが示唆されている。しかしながら、葉緑体光定位運動と気孔開口運動のシグナル伝達における両者の関与、およびRPT2がphot2の下流で機能しているかどうかについては不明である。rpt2nph3 突然変異体、およびフォトトロピンとの二重変異体の遺伝学的な解析によって、RPT2はphot1が誘導する胚軸光屈性と気孔開口運動に関与しているが、phot2が誘導する応答反応には関与していないことが示された。さらに、RPT2はphot1やNPH3と同様に膜画分に存在し、in vivo でphot1と結合することを明らかにした。一方、NPH3は葉緑体光定位運動と気孔開口運動のどちらのシグナル伝達にも関与していなかった。以上の結果から、phot1とphot2はシグナル伝達因子を使い分けることで3つの異なる応答反応を誘導していると考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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