日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ポプラG繊維におけるキシログルカンの生成
*馬場 啓一Yong Woo Park曽根 良昭林 隆久
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p. 252

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抄録
 G繊維は、伸長を終え二次肥大成長している双子葉植物の茎が重力に応答して姿勢制御するために形成される引張あて材の繊維で、リグニンを全く含まない二次壁層(G層)を大量に蓄積する。引張あて材がその強い成長応力によって木化した茎を屈曲させる原動力はG繊維であると言われているが、引張応力の発生メカニズムについては未だ明らかにされていない。キシログルカンは二次壁にはほとんど存在しないが、G層には確実に存在することがメチル化分析によって示された。キシログルカナーゼ(XEG)構成発現ポプラは重力屈生のコントロールが不能になることを昨年の本大会で報告した。XEG形質転換体ポプラの引張あて材、G繊維の壁層構造などは野生型と比べて形態学的に大きな変化はなかった。そこでキシログルカンに対する抗体を用いて野生型・XEG形質転換体両ポプラの茎断面を処理し、G繊維の観察を試みた。野生型においては、形成途上の引張あて材のG層最内層に抗体による標識が観察されるのに対して、形質転換体では抗体の標識が観察されなかった。このことは、G繊維はG層形成中にキシログルカンを生成していること、そのキシログルカンが形質転換体では失われていることを示しており、G繊維の引張応力発生機構にキシログルカンの関与があることを意味している。
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© 2004 日本植物生理学会
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