日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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共役二重結合数の異なる4種類のカロテノイドのバクテリオクロロフィル溶液中における光保護作用
*長江 勇一Leenawaty Limantara小山 泰
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p. 287

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抄録
バクテリオクロロフィルaのみを含む溶液と、バクテリオクロロフィルaに4種類の共役二重結合数nの異なるカロテノイド (ヌロスポレン (n = 9), スフェロイデン (n = 10), リコペン (n = 11), アンヒドロロドビブリン (n = 12)) をそれぞれモル比1:1の割合で添加した混合溶液について光照射を行い、まずはバクテリオクロロフィル溶液と、バクテリオクロロフィルとカロテノイド混合溶液のQy吸収帯の光退色過程について比較を行った。その結果、バクテリオクロロフィルとカロテノイドの混合溶液の方が、バクテリオクロロフィル溶液よりQy吸収の退色が少なかった。これはカロテノイドの光保護作用によるものである。次にカロテノイドの種類によるQy吸収帯の光退色過程について比較を行った。その結果、カロテノイドの種類によって違いはなく、結果が完全に一致した。溶液中ではバクテリオクロロフィル分子とカロテノイド分子の衝突が起こったときに瞬間的にエネルギー伝達が起こるため、LH2のように光保護作用に共役二重結合数nの依存性が見られなかったものと考えられる。カロテノイドの相対濃度を増加させるとQy吸収の退色が少なくなった。このことは上の解釈を支持するものと考えられる。この先、二分子膜構造を持つリポソームなどを使用することにより分子同士を接近させ、そのときの共役二重結合数nの依存性について調べていく予定である。
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© 2004 日本植物生理学会
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