日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネGAMYB遺伝子の機能破壊は胚乳におけるαアミラーゼ発現と花器官の発達に異常を来す
犬飼 義明金子 美幸上口(田中) 美弥子伊藤 博紀井澤 毅小林 裕子服部 束穂宮尾 安藝雄廣近 洋彦芦苅 基行*松岡 信
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p. 334

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抄録
GAMYB遺伝子はジベレリン(GA)シグナルにおいて最初に見つかった因子であり、胚乳におけるαアミラーゼ発現を正に制御することが知られている。しかし、本遺伝子の胚乳以外における機能についてはほとんど分かっていない。そこで、イネにおけるGEMYB遺伝子の機能を調べるために、我々は、本遺伝子のイネレトロトランスポゾンTos17による機能破壊株を選抜した。選抜した独立の3ラインともに胚乳におけるαアミラーゼの発現が全く観察されなかったことから、これらはGAMYBの機能欠失型変異体と判断した。これらの変異体は花芽形成時まで野生型と全く変わらない生育を示したが、花を形成した後は花器官の発達に異常を示し、特に花粉の発達は完全に阻害された。一方、雌蕊の形成は比較的正常に行われるために、野生型の花粉とは交配することができ、雄性不稔の形質を示した。また、in situ hybridizationの結果等から、GAMYBの発現とこれらの異常は良く一致することが確認された。これらの結果から、イネのGAMYB遺伝子は胚乳における貯蔵物質の分解酵素遺伝子群の発現誘導とともに、花器官における発達にも必須であるが、花芽誘導には影響を与えないことが分かった。
本研究の一部は生研機構の支援を得て行った。
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© 2004 日本植物生理学会
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