抄録
シロイヌナズナ半優性変異株propyzamide hypersensitive1-1 (phs1-1)は寒天培地上で育てると根が左巻きにねじれ、3μMの微小管重合阻害剤プロピザミドを添加した培地では根の表皮細胞層は細胞肥大し高感受性を示す。根の表皮細胞層の表層微小管は、phs1-1変異株では野生株に比べやや短く、全体としてはランダムでやや右肩上がりの配向に変わっていた。このphs1-1変異株の原因遺伝子をマップベーストクローニング法により同定したところ、PHS1タンパク質はC末端にdual-specificity protein tyrosine phosphatase (DsPTP) catalytic domainを持っていた。PHS1タンパク質をglutathione-S-transferase融合タンパク質として大腸菌で過剰発現させて、in vitroでフォスファターゼ活性を測定したところ、野生型PHS1融合タンパク質は人工基質を脱リン酸化する活性を示した。PHS1遺伝子内にT-DNAが挿入したヌル変異株phs1-2は劣性の胚性致死を示した。PHS1ゲノム領域を導入した形質転換体の解析より、phs1-1変異(R64C)はドミナント・ネガティブ変異であると結論した。