日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

原形質流動に関与する高等植物ミオシン(myosin XI)のカルシウム制御機構
*富永 基樹横田 悦雄中森 鈴奈新免 輝男大岩 和弘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 348

詳細
抄録
我々は、原形質流動に関与するミオシンXIをタバコ培養細胞BY-2から精製し、これが1分子のATP分解によって、35nmステップでアクチンフィラメント上をプロセッシブ(連続的)歩けるタンパク質モーターであることを明らかにした(EMBO J. 2003 vol. 22 pp. 1263-1272)。形質流動は細胞内Ca2+の上昇によって阻害されることが知られているが、分子レベルでの制御機構に関してはほとんど分かっていない。本研究では、原形質流動に関与するミオシンのCa2+制御機構を解析した。ミオシンをpCa5.5以上の高濃度のCa2+で処理をすると、軽鎖であるカルモジュリンが解離し、アクチンフィラメント上を運動する能力が低下した。in vitro運動アッセイにおいて、ミオシンの表面密度をあげると、Ca2+存在下でも滑り運動が観察された。以上の結果は、Ca2+によってミオシンXIの連続的な運動が抑制されたことを示している。短いアクチンフィラメントをミオシン1分子にrigor結合させて、ブラウン運動によるアクチンフィラメントの回転からミオシン分子のねじれ弾性を見積もったところ、pCa 5.5以下で回転は抑制された。この結果から、軽鎖カルモジュリンが外れることにより、軽鎖結合部位が折りたたまれて短くなり、硬くなったと考えられる。この軽鎖結合部位の弾性変化がミオシンの連続的な運動を抑制したと考えられる。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top