抄録
高等植物においては、クロロフィルaおよびbの合成には17段階の反応が必要である。これらの反応を触媒する酵素のうち、唯一、Divinyl-protochlorophyllide reductaseの遺伝子だけが同定されていない。一方、分解には、現在、少なくとも7段階の反応が明らかになっている。このうち、3つの反応を触媒する酵素が同定されていない。
われわれは、これらの酵素をコードする遺伝子を同定するために、HPLCによるスクリーニング方法を開発した。まず、EMSで変異をおこしたシロイヌナズナの種子をバーミキュライト上にまき、3週間後に葉を一枚刈り取り、HPLCによって色素組成を調べる。次に、この植物体を4日間暗所で育成し、葉を一枚刈り取り、HPLCによって色素組成を調べ、暗所処理前の色素組成と比較する。
われわれは、この方法によって、Divinyl-protochlorophyllide reductaseの変異体を含む、数種類のクロロフィル代謝およびカロチノイド代謝の変異体の単離に成功したので報告する。