日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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根粒菌・菌根菌共生を司る因子TRINITYの解析II
*武田 直也今泉(安楽) 温子呉 国江梅原 洋佐村上 泰弘吉川 真琴佐藤 修正浅水 恵理香田畑 哲之Myriam CharpentierLonneke MulderJillian PerryMartin Parniske室岡 義勝河内 宏川口 正代司川崎 信二林 誠
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p. 440

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抄録
マメ科植物ミヤコグサから単離された根粒菌・菌根菌共生変異体Ljsym71の原因遺伝子TRINITYTRI)をポジショナルクローニングにより同定した。cDNA配列および推定アミノ酸配列から、この遺伝子産物はプラスチド移行シグナルと4つの膜貫通ドメインをもち、カリウムイオン輸送に関与していることが示唆された。Ljsym71は根粒形成初期の段階で反応が抑制され、後の共生応答反応が起こらないことから、細胞内シグナル伝達経路に関わる因子であると考えられた。このチャネル様タンパク質がどのような機能を保持しているのか興味深い。サザンハイブリダイゼーションの結果相同性の高い遺伝子の存在が示され、ディジェネレートPCRおよびESTクローンの解析から、ホモログ遺伝子Sister of TRINITY (SOT) の単離に成功した。この遺伝子産物もTRIと同じくプラスチド移行シグナルをもつことから、TRIとの相互作用、共生への関与などを解析中である。TRI遺伝子ホモログは他のマメ科植物にも存在し、根粒形成および菌根菌感染双方を司る決定的な因子であると考えられる。さらにイネやアラビドプシスなどの非マメ科植物にも存在していることから、マメ科植物だけではなく、植物全般に重要な役割を果たしていることが示唆される。
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© 2004 日本植物生理学会
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