日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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根粒菌及び菌根菌との共生に関わるミヤコグサSYM82の解析
*矢野 幸司Kate VickersJillian Perry佐藤 修正浅水 恵理香田畑 哲之川口 正代司室岡 義勝Martin Parniske林 誠
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p. 441

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抄録
マメ科植物は根粒菌や菌根菌と共生関係を築いている。これまでの研究によって、このような共生に必要ないくつかの因子が解明されてきている。しかし、その遺伝的メカニズムについては、いまだ未知の部分が多い。そこで、本研究では共生メカニズムの一端を解明するために、EMS処理によって得られたミヤコグサの共生変異体Ljsym82を解析した。Ljsym82に根粒菌を感染させたとき、皮層細胞の分裂は観察されたが、それが成熟根粒にまで発達しなかった。また、感染糸の形成も阻害されており、根毛の途中で止まっているような感染根毛が見受けられた。一方、菌根菌を感染させると、内生菌糸は皮層に侵入することができるが、菌根菌が形成する樹枝状体の早期老化が起こっていた。マッピングによって、遺伝子座が第2連鎖群に存在していることが示唆された。そこで、F2集団をさらに解析して、座乗領域を約20kbpにまで絞り込んだ後、候補遺伝子についてシークエンスを行い、変異箇所を同定した。この遺伝子は推定アミノ酸配列で518アミノ酸残基をコードしており、変異体では107番目のグルタミンがストップコドンに変化したナンセンス変異を起こしていた。また、機能既知のドメインを含まない新規遺伝子だった。
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© 2004 日本植物生理学会
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