日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ細胞死突然変異体len3における全身獲得抵抗性誘導機構の解析
*石川 敦司宮部 香里旭 正
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p. 459

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抄録
われわれは、病原菌非存在下で細胞死を発現するシロイヌナズナの突然変異体(len: lesion initiation)をいくつか単離してきている。そのうちlen3変異体は、生長にともない、その葉において細胞死を発現し、全身獲得抵抗性を誘導している。また、耐病性シグナリングに異常を示す突然変異体との交配により得られた二重突然変異体の解析から、len3変異体における細胞死発現および全身獲得抵抗性誘導には、サリチル酸の蓄積およびサリチル酸シグナル伝達が必要であることが明らかとなっている。
本研究では、len3変異体における全身獲得抵抗性誘導機構に関して、len3変異体の細胞間隙画分にPathogenesis-related (PR) 遺伝子の発現誘導活性があるかどうか検討した。まず、野性株およびlen3変異体から細胞間隙画分を調整した。そして、それらを野性株に接種し、それぞれのPR遺伝子発現誘導活性を調べたところ、len3変異体の細胞間隙画分においてのみ、その活性が検出された。また、耐病性シグナリングに異常を示す突然変異体を用いた解析から、その活性発現にはサリチル酸シグナリングが必要であることが明らかとなった。以上の結果から、len3変異体の細胞間隙に、PR遺伝子発現誘導因子の存在が示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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