日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ラン藻Synechococcus sp.PCC7942におけるカルボキシゾームの生化学的解析
*西村 崇史山口 修前田 真一小俣 達男
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 529

詳細
抄録
ラン藻は植物のものにくらべCO2に対する親和性の低いルビスコを持つが、無機炭素濃縮機構を持つことで大気条件でも効率的に光合成を行うことができる。無機炭素濃縮機構は、無機炭素取り込み機構による細胞内へのHCO3-の蓄積と、ルビスコが局在している細胞内構造体カルボキシゾームにおけるCO2の固定の二つの段階から構成されていると考えられている。無機炭素取り込み機構に関しては現在までに詳細な解析が行われているが、カルボキシゾームに関しては、ルビスコとともにカーボニックアンヒドラーゼ(CA)が実際に存在することから、細胞内に高濃度に蓄積されたHCO3-を酵素反応的にCO2に変換し、ルビスコ近傍のCO2濃度を上昇させていると考えられているにすぎず、カルボキシゾームに関する詳細な生化学的解析はされていない。本研究は、カルボキシゾームの炭酸固定に関わるCAの機能を解析するために、野生株及びカルボキシゾームCA欠損株から抽出したカルボキシゾーム画分の炭酸固定活性を測定した。その結果、野生株のカルボキシゾーム画分から炭酸固定活性が確認され、CAを欠くカルボキシゾーム画分の炭酸固定活性は著しく低下していた。これらの結果は、カルボキシゾームが炭酸固定の主要な場であり、カルボキシゾームが効率的に炭酸固定を行うためにはカルボキシゾームにルビスコとともにCAが存在しなければならないことを示している。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top