日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ葉身の完全展開以降における窒素栄養がRubisco含量及びその他の主要光合成タンパク質含量に及ぼす影響
*今井 一洋牧野 周前 忠彦
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p. 536

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抄録
 Rubisco量やその他の光合成タンパク質量が、葉の展開中の窒素の供給量により大きく左右されることが詳細に調べられている。 (1) 。しかしながら、葉の完全展開以降の窒素の栄養処理による光合成関連タンパク質への影響はほとんど調べられていない。そこで、本研究では、イネ第8葉身を材料に、葉の完全展開時及びその1週間後から、1 mM N 区と4 mM N 区の2区を設けて、窒素の供給量の違いが葉の老化過程における主要な光合成関連タンパク質に与える影響を調べることを目的とした。サンプリングは、窒素処理開始後1週間、1日おきに行った。分析は、葉身全窒素含量、葉身への窒素流入量、Rubisco量、Chl量、LHCII量、CF1量について調べた。その結果、全ての分析対象は、処理時期の違いに関わらず、4 mM N 区では1 mM N 区よりも量的な増加が認められた。また、葉身全窒素含量に対するRubisco量の割合は、両処理時期共に、4 mM N 区において、より高い値を示していた。一方、葉身全窒素含量に対するLHCII量、CF1量、Chl量の割合は、4 mM N 区と1 mM N 区の間に、大きな差はなかった。以上から、葉の完全展開以降においても窒素の供給に対して、Rubisco量は、LHCII量、CF1量、Chl量よりも大きく影響されることが分かった。
(1) Makino et al., Plant Physiology 105: 173-179 (1994)
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© 2004 日本植物生理学会
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