抄録
イネにおけるフィトクロムの機能や分子種間(フィトクロム A,B,C)の役割分担を明らかにする目的でイネ・フィトクロム突然変異体の単離と解析を行っている。今回は、イネ・フィトクロム A(phyA)突然変異体を用いてイネ22K oligoarray (Rice Full-length cDNA Project and Agilent)によるマイクロアレイ解析を行った。
3日間暗所で生育させたイネphyA突然変異体に、遠赤色光(FR)を照射後、時間を追って(0.5、1、4h)、子葉鞘(coleoptile)先端部を採取した。野生型(日本晴)も同様の処理を行って、対照に用いた。マイクロアレイの解析は、TMEV (Saeed et al., 2003 Biotechniques, 34(2):374-8.)を用いてSOTA(Herrero et al. 2001 Bioinfomatics, 17:126)法で行った。
野生型でFR光で誘導または抑制され、phyA突然変異体で変化しないことを指標にphyAで発現が制御されている遺伝子を選んだ結果、それぞれ約260(誘導)、130(抑制)個の候補遺伝子が同定された。これらの詳しい解析を実行中である。