日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのシスタチオニンγ-シンターゼ遺伝子におけるmRNAの安定性による自己制御機構:翻訳停止に関わる領域のin vitro系での解析
*永見 陽子中本 真理尾之内 均内藤 哲
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p. 591

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抄録
メチオニン生合成の鍵段階を触媒するシスタチオニンγ-シンターゼ (CGS) 遺伝子の発現はメチオニンの次の代謝産物であるS-アデノシルメチオニン (SAM) に応答してmRNAの安定性の段階で負に制御されている。この制御は翻訳中に起こり、CGS新生ポリペプチドが関与すると考えられる。この制御にはCGSの第1エキソンが必要十分な領域であり、この領域内の十数アミノ酸の配列 (MTO1領域) が特に重要である。In vitro系でGSTタグ付きCGS第1エキソンを翻訳させると、SAM添加に応答してMTO1領域近傍で翻訳が停止したと考えられるポリペプチドが検出される。今回、翻訳停止が起こるためにはCGS第1エキソンのどのコドンまで翻訳される必要があるかについて検討した。そのためにMTO1領域の下流の様々な位置のコドンを終止コドンに置換し、その影響を調べた。その結果、96番目以降を終止コドンに変えた場合には野生型と同程度の翻訳停止産物の蓄積がみられたが、95,94,93番目のコドンを終止コドンに置換するとその蓄積量が減少し、92番目またはそれより上流を終止コドンに置換すると翻訳停止産物の蓄積はみられなくなった。さらに92-95番目のコドンをそれぞれアラニンに置換したところ、93番目のコドンを変えた場合のみ翻訳停止産物の蓄積がほとんどみられなかった。この結果から、93番目のトリプトファンが翻訳停止に重要であることが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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