抄録
デンプンの主要構成成分であるアミロペクチンは、可溶性スターチシンターゼ(SSS)、スターチブランチングエンザイム(SBE)、及びスターチデブランチングエンザイム(DBE)の作用によって合成されることが知られている。特にDBEであるイソアミラーゼ(ISA)とプルラナーゼ(PUL)はマルチプルクラスター構造の構築に必要不可欠であるとされている。本研究ではオオムギDBEのうちISAに着目して特性解析を行っている。
ISA遺伝子はトウモロコシやジャガイモなどにおいて3種類存在することが知られている。今回は、これまでに同定されている2つのオオムギISA遺伝子(HvISO1, HvISO2)に加え、オオムギISA3遺伝子ホモログをRT-PCRおよび3’、5’RACE法を用いて単離した(HvISO3)。発現解析の結果、HvISO3はこれまでに同定されているHvISO1および2とは異なっており、緑色組織、特に若葉で強く発現していた。しかし、胚乳組織ではほとんど発現していないことが明らかになった。このことから、HvISO3は他の2つのHvISOとは異なる発現特性を有する遺伝子であることが考えられる。現在、3つのHvISO由来のタンパク質と、組織別に発現するイソアミラーゼ分子のサブユニット構成との関連性について解析を行っている。