日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリア Synechococcus sp. PCC 7942 におけるdnaK2遺伝子の発現調節機構
*佐藤 真純荷村(松根) かおり千葉桜 拓吉川 博文
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p. 640

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抄録
我々はシアノバクテリアSynechococcus sp. PCC7942株にdnaK相同遺伝子を3つ(dnaK1,dnaK2,dnaK3 )見い出している。これら3つの相同遺伝子のうち、dnaK2, dnaK3遺伝子が共に必須遺伝子である事や、各蛋白質の細胞内の局在性の違い、熱ショックに対する応答の違いなどから、これらのDnaK蛋白質は細胞内で特異的な機能を担っている事が示唆されていた。今回、我々は各dnaK の発現調節機構を解析する目的で、レポーター遺伝子を用い各種ストレス下での発現を調べた。その結果、強光、塩(NaCl)ストレスに対してdnaK2 の発現量のみが一過的に増加するという応答が見られた。さらにdnaK2 のノーザンブロッティングによる解析の結果、dnaK2 転写産物の蓄積量は強光、熱ストレスに対して15以内に最も増加する一方、塩ストレスでは遅く、複数段階にわたる応答が観察された。またプライマー伸長法による解析の結果、dnaK2の転写開始点は複数存在する可能性が示唆された。これらの開始点から予想されるプロモーター配列は大腸菌の主要シグマ因子や熱ショックシグマに認識される配列とはいずれも異なっていた。dnaK2の上流には既に知られている熱ショック応答に働くDNAシスエレメントが見つかっていない。これまでに熱ショック応答への関与が示唆されている因子の破壊株を用いた実験結果も含め、この発現調節機構について考察する。
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© 2004 日本植物生理学会
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