抄録
一重項酸素(1O2)は光阻害の原因となる活性酸素のひとつであるが、未だに確実的な検出方法は確立されていない。フルオレセイン骨格を持ち、1O2との反応によりエンドパーオキシド体を形成し蛍光を増加させる9-[2-(3-carboxy-9,10-diphenyl)anthril]-6-hydroxy-3H-xanthen-3 (DPAX) (Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38:2899)を用い(Ex. = 505 nm, Em. = 525 nm)、新たな検出方法を開発した。Xe-PAMを使い、照射光下における蛍光測定を可能とした。また、共焦点レーザースキャン顕微鏡でも測定を行った。DPAXを加えた葉緑体の懸濁液に赤色光照射を行ったところ蛍光増加が観測された。しかし、嫌気条件、または電子受容体であるフェリシアン化カリウムを加えた条件下では観測されなかった。これは無酸素条件、または電子伝達が迅速に行われている際には1O2が生成されないことを示している。これらの結果は、植物での1O2生成の検出がDPAXによって可能であることを示している。また、DPAXとXe-PAMを使うことで1O2の生成速度などの測定も可能である。