抄録
EST解析は新規遺伝子発見のための基盤を提供し、マイクロアレイ技術は遺伝子発現ネットワークの包括的な解析に有用な手法である。タバコは重要なモデル植物であるが、ゲノム配列はもとより、cDNAクローンやESTなどの大規模な遺伝子情報およびリソースが殆ど整備されておらず、マイクロアレイが利用できなかった。そこで、我々はタバコにおいてEST解析を行った。糸状菌エリシター処理および無処理のタバコ(Nicotiana tabacum cv. Xanthi-NC)幼植物体由来の完全長cDNAライブラリーをGatewayシステムに適合したベクターを用いて構築した。5,000個以上のコロニーを無作為に選抜してクローニングされたcDNAの配列を解析した。結果的に4,762個の5'-端から端読みしたESTが得られ、これらは1,668個のコンセンサス配列に分類された。各配列についてBLASTx検索結果を基にアノテーションを行った。このようにして選抜された完全長cDNAを用いてマイクロアレイを作製し、タバコにおいてそれらに対応する遺伝子の発現プロファイルの解析を行った。