抄録
VAR1とVAR2はチラコイド膜に局在するFtsH と呼ばれるATPaseドメインを持つメタロプロテアーゼである。両タンパク質はシロイヌナズナで葉に斑入りを生じる突然変異体yellow variegated1 (var1)及びvar2の原因遺伝子として同定された。これまでにVAR1/VAR2は光阻害を受けた光化学系IIの分解に関わることが示唆されており、VAR1/VAR2がチラコイド膜のタンパク質複合体の修復に関与すること、およびチラコイド膜自体の形成に関わることが、葉に斑入りを起こす原因であると推測している。VAR1とVAR2は複合体を形成し、タンパク質レベルで協調的に発現することも明らかとなっている。すなわち、それぞれのタンパク質の蓄積は互いに他の発現量により影響を受ける。そのため、両者は相同性が高いにも関わらずどちらか一方の欠損により斑入り形質を示すと考えられた。今回は我々がこれまでに得たvar2のアリル全てについて、VAR2遺伝子座におけるそれぞれの変異箇所を特定し、それらとVAR1およびVAR2タンパク質レベルとの関係を調べた。免疫的に検出されるVAR1/VAR2量の減少と斑入りの強さには相関があり、アミノ酸置換による変異型VAR2の蓄積量が減少するアリルではVAR1の蓄積量も減少していることが明らかとなった。