日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ・ジーントラップラインにおける根中心柱に特異的な遺伝子発現
*小松 悠太黒羽 剛佐藤 修正加藤 友彦田畑 哲之佐藤 忍
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p. 745

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抄録
高等植物は根自身で生合成した様々な有機物質を導管流に乗せて地上部器官へ輸送していることが示されており、それら導管液有機物質が個体の発生・分化や機能調節に関与していると考えられている。キュウリ導管液中に存在するレクチン様タンパク質XSP30やグリシンリッチタンパク質は、根の根毛帯の内鞘及び木部柔組織で特異的に発現していることが分かっている。このことから、導管液中の物質に関連する遺伝子が、根の導管の周辺組織で発現している可能性が考えられた。そこで本研究では、シロイヌナズナを用いたジーントラップ法により、根維管束周辺組織で発現する遺伝子の同定を試みている。
GUS遺伝子を含むT-DNAをシロイヌナズナのゲノム中にランダムに挿入したラインを51,000ライン作成した。このうち、根の中心柱でGUSの発現が見られるラインが35ライン得られた。さらに、そのうちで中心柱でのみGUSを発現するラインが26ライン、内皮と中心柱でGUSを発現するラインが1ライン、全体の組織でGUSの発現を示すラインが8ライン得られた。また、地上部でGUSの発現を示さず、根の中心柱でのみ発現を示すラインが2ライン得られた。導管液物質が根の維管束組織で生産・分泌される可能性が考えられることから、根の中心柱で特異的にGUSの発現を示すこれらのラインが、導管液物質に関連する遺伝子にT-DNAの挿入を受けている可能性が期待される。
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© 2004 日本植物生理学会
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