抄録
シロイヌナズナのRD22遺伝子は植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)を介して乾燥ストレスにより誘導される。rd22遺伝子のプロモーターにはABA Responsive Element(ABRE)が存在せずMYC認識配列及びMYB認識配列がABAを介した乾燥応答性のシスエレメントとして働いていることを明らかにした。また、これらのシス配列に結合するMYC相同性因子RD22BP1とMYB相同性因子ATMYB2を単離した。RD22BP1及びATMYB2は共にRD22遺伝子の乾燥応答性のシスエレメントを介した転写活性化能を有しており、これら両因子を過剰発現させた形質転換植物体ではRD22遺伝子のABA誘導性遺伝子発現が増大した。同時にこれら植物体ではABAに対する感受性が高まっていた。更にマイクロアレイ解析を行った結果、幾つかのABA誘導性遺伝子の発現が確かに増大していることが明らかとなった。逆にこれら因子の遺伝子破壊植物体ではABAに対する感受性が減少した。以上のことから、これら両因子はABAを介した乾燥誘導性遺伝子発現を制御していることが明らかとなった。今回、我々はRD22BP1と相互作用する因子を酵母のTwo Hybrid法により単離した。現在、それら因子のABA情報伝達系での機能について解析中である。