日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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表在性蛋白の分布を指標とした酸素発生系の進化
*多田 理鈴木 健裕牧村 美樹太田 尚孝井上 勲榎並 勲
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p. 765

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抄録
酸素発生系II標品に結合した表在性蛋白は植物種間で異なることが知られている。高等植物には、33, 23, 17 kDa の3種の表在性蛋白が存在するが、ラン色細菌には33, 12 kDa 蛋白とcytc550 の3種の表在性蛋白、また紅藻には33, 20, 12 kDa 蛋白とcytc550 の4種の表在性蛋白が結合している。我々は、表在性蛋白の分布を指標とした酸素発生系の進化を調べる目的で、すでに種々の植物種のPSIIあるいはチラコイド膜と高等植物や紅藻の表在性蛋白の抗体との反応性を調べてきた。その結果、褐藻、珪藻のチラコイド膜は紅藻の20 kDa 蛋白(R20) とcytc550 (Rc550) の抗体と反応し、緑藻のPSII やチラコイド膜は高等植物の23 kDa 蛋白(H23)の抗体 と反応することを報告した(2002年 植物生理学会)。今回、新たにハプト藻、プラシノ藻、ユーグレナ藻について調べたので報告する。ハプト藻のチラコイド膜はR20, Rc550の抗体と反応し、ユーグレナのPSIIとプラシノ藻のチラコイド膜はH23の抗体 と反応することが明らかになった。これらの結果は、紅藻が二次共生した褐藻、珪藻、ハプト藻には紅藻型の表在性蛋白がそのまま保存されてきたことを、一方、Chl.a/b型の光合成生物には高等植物型の表在性蛋白が存在することを示す。
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© 2004 日本植物生理学会
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