日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

RNAi法による酸素発生系表在性23-kDaタンパク質の発現抑制
*山本 由弥子伊福 健太郎石原 靖子佐藤 文彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 768

詳細
抄録
 高等植物では効率的な遺伝子発現抑制の技術が未確立であるため,光合成関連タンパク質の生理機能の解析には形質転換の容易なシアノバクテリアやクラミドモナスなどの微生物が主に用いられてきた。しかし,高等植物に特有なタンパク質の機能解析には,植物における遺伝子発現抑制法の確立が性急な課題である。そこで,本研究では,psbP遺伝子を標的に,近年有効なツールとして期待されているRNAi法により,遺伝子発現抑制形質転換タバコの作製を試みた。
 表在性23-kDaタンパク質(PsbP)は緑藻と高等植物に特徴的な核支配の光化学系IIサブユニットの一つで,Nicotiana tabacumpsbP遺伝子はファミリーを形成し,塩基配列の相同性により2つのグループに分類される。まず,グループ内での相同性が高くかつグループ間で相同性の低い3'-非翻訳領域をRNAiトリガー配列として用いることで,グループ特異的な発現抑制が可能であることを明らかにした[Ifuku et al. (2003) BBB, 67, 107-113]。また,高度に保存されたコーディング領域をトリガー配列に用いることにより,ファミリーを構成する全てのpsbP遺伝子の発現を完全に抑制することにも成功した。PsbP発現抑制タバコは,すでに報告されているクラミドモナスPsbP欠損株とは明らかに異なる特徴を示しており,現在,その生理機能の解明のために形質の安定なT2ホモラインで詳細な解析を進めている。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top