抄録
プラストシアニンは酸素発生型の光合成電子伝達系で機能する電子伝達銅タンパク質である.われわれは緑藻Pediastrum boryanumにおいて,このプラストシアニンの発現が倍地中の銅に依存して制御されていることを報告してきた.今回,P.boryanumのプラストシアニン遺伝子をinverse PCRゲノミッククローニングにより単離し,コーディング領域の5’側上流領域1kbと3’側下流領域0.9 kbの塩基配列を決定した.cDNA配列との比較から緑藻に共通に含まれるイントロンが1つあった.これまでに報告されている緑藻2種のプラストシアニン遺伝子と比較すると,Scenedesmus obliquus が2つ目のイントロンを持つという違いがあるにもかかわらず,5’側上流領域及びコーディング領域においてはChlamydomonas reinnhardtiiよりも,S. obliquusの方に類似していた.3’側下流領域には類似した配列は見つけられなかった.