抄録
トマトの暗黒芽生えに光を当てると、フックが巻き込む(更に内側に曲がる)ことを我々は見出した。このフック巻き込みの促進には、赤色光(R)および遠赤色光(FR)のどちらも有効であった。すなわち、1)パルス照射の場合、Rによってフック巻き込みがおこり、この効果は、FRによってわずかに打ち消された。2)FRパルス照射も顕著なフック巻き込みを引き起こした。3)連続照射の場合は、RもFRも共にパルス照射よりも大きな巻き込みを引き起こしたが、4)phyA欠損mutantでは、FRのパルスおよび連続照射の効果が消失した。5)phyB1欠損mutantではパルス照射におけるR/FRの可逆反応は認められたが、連続照射において0.1 μmol m-2 s-1以下の光強度領域でのRの効果が減少した。これらの結果から、光によるフック巻き込み反応には、phyAを光受容体とするvery-low-fluence-responseならびにFR-high-irradiance-responseが関与するが、それに加え、phyB1がR-high-irradiance-responseに部分的に関わっている可能性も示された。今回は、これらフィトクロム反応におけるエチレンの関与についても報告する。