日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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日本植物生理学会賞
In vitro 系の開発による植物遺伝子発現機構の研究
*杉浦 昌弘
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p. A001

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抄録
In vitro系は、遺伝子発現過程(転写、RNAプロセス、翻訳など)の解析に最も重要な手法である。我々は、タバコBY-2細胞の単離核よりin vitro転写系を開発した。この系は、植物RNAポリメラーゼI、II、III全ての転写を正確に行うことができる。更に、この系を改変して、pre-tRNAのスプライシングも行うことができる。この系を用いて植物固有の転写機構を解析した。ついで、単離タバコ葉緑体よりin vitro転写系、RNAエディティング系及び翻訳系をそれぞれ開発した。これらの系を用いて、核ゲノムコードの葉緑体RNAポリメラーゼの新しいプロモーターモチーフや数種の葉緑体mRNAの新しい翻訳開始機構を見出した。高等植物の葉緑体では、転写物の約30ヶ所にRNAエディディング(CからUへの変換)が起きることが知られている。In vitroRNAエディディング系を用いて、数種のmRNAのエディティングのシス配列を、エディットされるC残基の上流約10ntと同定した。ついで、各々のエディットされるC残基は、別々のトランス因子で識別されることを見出した。さらに、トランス因子がエディットされるC残基にも作用することを発見し、RNAエディディングの新しい機構モデルを提唱した。我々のRNAエディディング抽出液の調製法は、エンドウの葉緑体やミトコンドリアにも適用できる。
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© 2004 日本植物生理学会
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