日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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日本植物生理学会奨励賞
ホウ素トランスポーターの同定と解析
*藤原 徹
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p. A003

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抄録
ホウ素が植物の必須元素であることが発見されたのは80年前である。最近、ホウ素は動物でも必須であることが示されてきている。ホウ素は植物に受動的に吸収され蒸散流に乗って体内を移行すると考えられてきた。本研究においては、このような定説を覆し、植物がホウ素を積極的に輸送することを示すと共に、輸送を担うトランスポーターの同定と解析を行った。シロイヌナズナbor1-1変異株は正常な生育に比較的高濃度のホウ素を必要とする。bor1-1変異株においては地上部のホウ素濃度が野生型株より低く、トレーサー実験によって根から地上部への輸送に欠損があることが明らかになった。ポジショナルクローニングによってBOR1をAT2G47160と同定した。BOR1は10回膜貫通型のタンパク質と予想され、細胞膜に局在することを明らかにした。また、BOR1は主に根のpericycleで発現していた。BOR1を酵母で発現させると細胞内のホウ素濃度が低下することを見いだした。これらの結果はBOR1は排出型のホウ素トランスポーターであり、根の導管周辺で発現することで、地上部へ積極的にホウ素を輸送していることを示している。BOR1は生物界ではじめて同定されたホウ素トランスポーターであり、酵母の相同遺伝子YNL275wもホウ素輸送体であることを明らかにした。BOR1相同遺伝子は植物に限らず真核生物に広く存在しており、これらが生物界でのホウ素輸送を担っている可能性が考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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