日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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オオムギの鉄欠乏ストレス応答と液胞膜局在性ABCトランスポーターIDI7
*山口 博隆森 敏西澤 直子
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p. S005

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抄録
演者らは、高等植物の鉄欠乏ストレス応答機構の研究を行っている。鉄欠乏ストレスに耐性が高いオオムギの根において、鉄欠乏誘
導性遺伝子を単離する実験の中で、ABCトランスポーターをコードすると考えられる遺伝子のcDNA、IDI7(Iron Deficiency Induced)
単離した。演者らはとくにABCトランスポーター研究の専門家ではないので、この講演では高等植物とくに単子葉植物の鉄欠乏ストレス
耐性機構の研究成果を紹介しながら、ABCトランスポーターIDI7の機能を考察する形で話題提供を行いたい。
 IDI7はATP結合部位と膜貫通領域を1つずつ持つhalf-transporterと考えられた。IDI7は、これまで知られている植物のABCトランス
ポーターよりも、動物のTAPトランスポーターとのアミノ酸配列の相同性が高かった。IDI7とGFPとの融合タンパク質の蛍光は、タバコ
BY-2で発現させると液胞膜に観察された。IDI7がどのような分子を液胞に輸送しているかは明らかでないが、オオムギの根における鉄
欠乏応答に、液胞への何らか輸送が関与していること示唆された。オオムギで得られた知見と、双子葉植物であるシロイヌナズナのオ
ルトログAtIDI7の単離および解析と合わせて、オオムギの鉄欠乏ストレス応答機構に関連した液胞膜局在性ABCトランスポーターIDI7の
機能について考察する。
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© 2004 日本植物生理学会
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