日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの免疫システムにおける分子パターンの認識とその情報伝達
*蔡 晃植磯貝 彰
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p. S010

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抄録
 我々は、植物病原細菌Acidovorax avenaeの菌株間における宿主特異性にイネによる病原菌認識と免疫システム誘導が関与することを明らかにすると同時に、イネの免疫システム誘導にA. avenaeの鞭毛を構成するフラジェリンが分子パターンとして関与することを示した。イネにおけるフラジェリン認識機構を明らかにするため、様々なフラジェリンフラグメントの免疫反応誘導活性について調べたところ、C末端部分を含む断片にのみ免疫反応誘導活性が認められた。一方、フラジェリンのN末端の保存配列から合成したflg22がFLS2受容体型キナーゼによって認識されることが知られているシロイヌナズナにおいて、C末端フラグメントは全く活性を示さず、イネはシロイヌナズナとは異なるフラジェリン認識システムを有していることが示された。また、フラジェリン認識の情報伝達機構についてもイネcDNAマイクロアレイを用いて解析を試みた。その結果、非親和性菌株接種によって特異的に発現変動する173遺伝子のなかで、69遺伝子のみがフラジェリン欠損株で発現変動が認められないことが明らかとなった。これは、フラジェリンはイネにおける分子パターンとして機能するものの、免疫システム誘導にはフラジェリン以外の分子パターンも関与することを示唆している。我々は現在、このようなイネ免疫反応誘導に関与する分子パターンは、この菌のType III分泌機構を介して分泌されることを明らかにしている。
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© 2004 日本植物生理学会
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