日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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細胞死を媒介とした植物免疫のシグナル伝達
山室 千鶴子筒井 友和*山口 淳二
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p. S009

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抄録
植物においてプログラム細胞死は、発生過程で起こるだけでなく、植物免疫の過程、すなわち病原菌の感染領域の拡大を防止するための防御戦略過程に関与する。シロイヌナズナの”lesion mimic” 変異体群を用いた遺伝学的解析によって、植物免疫に関与するシグナル因子群が同定されつつある。私たちは、恒常的に壊死病斑を形成するシロイヌナズナ変異体cad1 (constitutively-activated-cell-death) を単離し、その解析を進めている。cad1の原因遺伝子は、哺乳類の補体やperforinタンパク質に存在するMACPF領域をもつタンパク質をコードしていた。npr1-1や35S-NahG 植物体を用いた遺伝学実験によって、CAD1は既存の細胞死・植物防御の活性化経路と異なる新規シグナル伝達経路に関与することが明かとなった。MACPF領域を持つタンパク質は哺乳類の自然免疫機構に関与する。CAD1を含めた植物免疫のシグナル伝達機構の現状と動物と植物における免疫関連遺伝子群の進化的関連性について解説したい。
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© 2004 日本植物生理学会
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