抄録
イネゲノム解析研究プロジェクトが農林水産省の主導のもとに開始されて12年が経過した。この間、約3000個のDNAマーカー、約1万種類のEST、イネゲノムの約63%を再現した酵母人工染色体(YAC)クローンによる物理地図が初期7年間で作出され、これらは農業生物資源研究所DNAバンクより配布されてきた。1998年に開始された第2期プロジェクトではゲノム全塩基配列決定と重要遺伝子機能解析を目的とし、PAC/BACクローンによる、ほぼイネゲノム全体を再現する物理地図、イネ内在性レトロトランスポゾンTos17による約50,000系統の遺伝子破壊イネ、日本型とインド型イネのいくつかの組合わせによる交配・戻し交配による染色体置換系統、さらに約30,000種類の完全長cDNAが作出されてきた。これらは今後のイネゲノム機能解析研究に欠かせないことから農業生物資源研究所ではこれらの資源の管理提供を平成14年度、ゲノムリソースセンターを開設して開始し、また、更に現在の資源品目を増やすことを目的にしたプロジェクトを平成14年度から開始した。これらのリソースに付随する塩基配列情報はDNAバンクサーバーで管理発信されている。今回のシンポジウムでは配布資源と提供条件の詳細を紹介する(http://www.rgrc.dna.affrc.go.jp/index.html)。