日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのメリステムの維持に関わる FLORAL ORGAN NUMBER2 遺伝子の単離とその機能解析
*寿崎 拓哉鳥羽 大陽北野 英巳平野 博之
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p. 023

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抄録

 植物のシュートの頂端分裂組織や花分裂組織は,それぞれ葉や茎および花器官を形づくるために重要である.これまで,これらのメリステムの維持機構の解析は双子葉植物のシロイヌナズナを中心に進められてきた.しかし,シロイヌナズナを用いた研究から得られた知見が他の植物にも当てはまるかどうかは明らかになっていない.そこで,私たちは単子葉植物のモデル植物であるイネを用いて,イネのメリステムの維持機構の解析を行ってきた.イネのfloral organ number1 (fon1)変異体では花分裂組織のサイズの増大により,花器官数の増加が引き起こされる.私たちは,これまでに,FON1遺伝子がLRR型のreceptor-like kinaseをコードし,シロイヌナズナのCLAVATA1遺伝子のイネのオーソログであることを明らかにしてきた (Suzaki et al. Development 131:5649-5657, 2004).
 今回は,花器官数が増加するなどfon1変異体と類似した表現型を示すfon2変異体について,表現型の解析と原因遺伝子の単離とその機能解析を行った.これまでのFON1遺伝子の解析とともに,今回新たに得られた結果により,イネの花分裂組織の維持にCLAVATA シグナル伝達経路が保存されていることが強く支持された.さらに,イネとシロイヌナズナではメリステムの維持機構が一部異なっていることも示されたので,その違いについて考察する.

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© 2005 日本植物生理学会
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