日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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コムギFLORICAULA/LEAFYホモログWFLは穂の形態形成に関与するか?
漆川 直希高岸 愛*村井 耕二
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p. 024

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抄録
FLORICAULA/LEAFYFLO/LFY)は、双子葉植物のキンギョソウやシロイヌナズナにおいて、花芽運命決定遺伝子として花芽分裂組織の identity の決定を担っている。単子葉類のトウモロコシにおいても、FLO/LFYホモログであるZFLは小穂分裂組織原基および小花分裂組織原基で発現しており、花芽形成に関与すると考えられる。ところが、イネFLO/LFYホモログであるRFLはその発現パターンから見て、花芽形成ではなく枝梗形成に関与すると思われる。本研究では、トウモロコシやイネと同じイネ科に属する、しかし、穂の形態の異なるコムギにおけるFLO/LFYホモログの機能を解明するため、WFLWheat FLO/LFY)を単離し発現解析を行った。RT-PCRの結果、WFLは幼穂特異的に発現することが示された。また、in situ hybridization の結果、小穂分化期のコムギ幼穂では、将来、小穂原基となる二重隆起(double ridge)の上側の隆起での発現が抑制されることが明らかとなった。さらに発育の進んだ穎花分化期の幼穂では、発達中の内穎の基部でのみ特異的に発現していた。以上の結果は、WFLはイネと同様、花芽形成に関与するのではなく、穂分裂組織からの側性器官(コムギでは小穂)の分化形成に関与することを示唆する。さらに、WFLは内穎の形成にも関与することが考えられる。
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© 2005 日本植物生理学会
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