日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803の低分子量転写因子Ssl0564による光合成電子伝達鎖のレドックス状態検知機構
*中村 絹日原 由香子
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p. 073

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抄録
シアノバクテリアには、ほぼ全長がLuxRファミリータイプのへリックスターンへリックスモチーフから成る低分子量転写因子が高度に保存されているが、その機能は不明であった。我々はSynechocystis sp. PCC 6803のLuxR型低分子量転写因子Ssl0564がNADHデヒドロゲナーゼサブユニット2をコードするndhD2、ペントースリン酸エピメラーゼをコードするrpe、カタラーゼペルオキシダーゼをコードするkatG等、一連の遺伝子群の発現を光強度依存的に調節していることを見出した。さらに、精製Ssl0564タンパク質を用いたゲルシフト解析および様々な培養条件下でのノーザン解析により、Ssl0564は標的遺伝子の上流域に結合し、光化学系I還元側がより酸化的な条件下で転写調節を行っている事が示された。in vitroでは酸化処理によってSsl0564の二量体化が見られた。DTNBを用いてチオール基の定量を行ったところ、還元型、酸化型タンパク質1モル当り、チオール基の存在量はそれぞれ3.14±0.32、0.15±0.11モルであった。酸化型Ssl0564はC末端の3つのシステイン残基が、分子間あるいは分子内ジスルフィド結合を形成することにより二量体化し、活性化していると考えられる。現在ウェスタン解析により、細胞内Ssl0564の動態を検出しようと試みている。
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© 2005 日本植物生理学会
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