日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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様々な植物器官の発達過程において一過的に発現する基本転写因子atTAF10の機能解析
*玉田 洋介中森 一樹中谷 公美松田 健太郎古本 強泉井 桂
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p. 078

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抄録
 TATA box-binding protein (TBP) associated factors (TAFs)とは、TBPとともに基本転写複合体TFIIDを構成する約14個の基本転写因子群のことである。我々はすでにシロイヌナズナよりA. thaliana TAF10 (atTAF10, At4g31720) を単離し、atTAF10は側根、ロゼット葉、花の各器官といった様々な器官の発達過程において一過的な発現を示すこと、また、この発現が、外因性オーキシン・サイトカイニンによって影響されることを明らかにしている。今回我々は、atTAF10の過剰発現体とアンチセンス法による発現抑制体を作出し、これらの形質転換体が花序のターミナル化や未熟葉の大量発生など複数の形態異常を示すこと明らかにした。また、これらの形質転換体においてWUSCHEL (WUS) とAGAMOUS (AG) の発現が有意に上昇していることを明らかにした。これらの結果を総合すると、atTAF10は様々な組織の発達過程のある特異的な段階において一過的に機能し、何らかの遺伝子発現に寄与することでWUSAGの発現を制御することにより、正常な形態形成に関与している可能性がある。これらの結果に加え、T-DNA挿入によって発現が低下したノックダウン個体を入手し、それについてもいくつかの形態異常を示す表現型を見出したので、合わせて報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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